遠足の集合駅を間違えた母と祖父は・・・
母方の祖父の写真が出てきた。
昔の物で、少し色あせてしまったカラープリンㇳだ。
限りなく優しい人だった。
赤ちゃんだった孫(私のいとこ)の名前を、柔らかくおだやかな声で呼んで、
軽く揺らしながら抱っこしていた姿を覚えている。
以下は母から聞いた話だ。
母が小学生だった時、遠足の日、集合時間が過ぎても
集合場所に誰も来なかった。
確認したら駅を間違えていた。
東西南北の一文字が、最後に付くか付かないかの
似たような駅名だったらしい。
祖父は、母を自転車の荷台に乗せて、
猛ダッシュで正しい駅へ向かった。
やっとホームに着いた時、
ちょうど電車が動き出したところで、
乗れなかった母を車内から見て、みんな、うわー!
と大騒ぎになったらしい。
そういえばそのあと、どうなったんだろう…
聞きそびれたまま、もう二人とも帰らぬ人たちだ。